【完】麗人、月の姫




「で、今日の修行は何するの?」


ひと通りのメニューをこなしたあと、透真くんに聞いてみる。


いつもこのあとは、透真くんが指示した修行をするんだよね。


少しずつだけど技は使えるようになった訳だし、日々の修行は大切だと実感させられる。


「……………そうだな。今日は城下町へ行くか」

「城下町……っ!!」


城下町行くの初めてだ!

どんなところだろう?


お菓子とか………可愛い小物とか売ってるのかな?

なんかワクワクする♪


「言っておくけど遊びに行くんじゃないからな」

「え!?」

「これも修行の一貫。町の様子を知るのも姫の仕事だ」

まぁ……………確かにそうだよね。

国民のことを知らない姫なんて、姫とは言わない。

ただ上に君臨する人に過ぎない。

「その姿でもいいが…………少し怪しまれるかもな。国民と同じ格好を用意する。それに着替えろ」

そう言うと、透真くんは使用人を呼びつけ何やら話をしたと思ったら、使用人には急いでどこかへ行ってしまった。

恐らく服の用意するように言ったようだけど、それぐらい自分で用意すればいいのに…………。


数分もせずにその使用人は服を持って戻ってきた。


「これに着替えろ」

そう渡されたのはいつも着る服とは何だか雰囲気の違う服。ワンピース型で腰元には茶色の太いベルトに、胸元は茶色の紐で編みあみに組まれている感じの服。

無地は暗い感じの青色の生地で落ち着いており、多少地味に見えるがそこがまた可愛い……………。


靴は茶色のブーツを渡され、私は言われたままにそれに着替えた。



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