◆中学生物語◆
―教室に入ると、いつも通り桃子があたしの机で待っていてくれた。



「おはよーみずき。…優歩の様子、どうだった?」



早速、その話題を桃子が不安そうに聞く。



あたしは、校門で優歩たちが話していたことを桃子に伝えた。



…「あ~、それあたしも見た。昨日テニス、陸上部と終わるの一緒だったから」



「え?そうなの?…で、どうだった?」



あたしは、桃子の目撃情報に必死に耳を傾ける。



「ん~とね~…別に普通というか、楽しそうに話してたけど…実をいうと、よく見えなかったんだよね。あっちのグループの子達が覗き見してたから近づきにくくって」



「…そっか。別に変わったところはなかったんだ」



…あたしは、桃子の言葉に少しホッとした。もしかしたら、そこまで気にすることないのかも、って思った。



…けど、これで解決したわけじゃない。



あたしは胸の中で起こる衝動を必死で抑えた。
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