トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
いつもは飄々として見える篤さんがこんなに驚いているのを初めて見た。


「冗談なら良かったんですけどね……。」


白状するように後ろ向きな肯定をすると、


……あれ? 何だか篤さんの様子が変だ。


「な……


なんも言えないってこういうことか。


君も凄いし、その状況で君をつっぱねる拓真はもっとすげえ。……いや、そんなの無理だろ。」



ぶつぶつと呟いている。


と思ったら急にこちらを向いて、


「まさかやっちゃったの!?」


と涙目で聞いてきた。何だろう、さっきまでの涼しげで格好良い篤さんとの落差は。


「やっちゃったの、とか聞かないでくださいよ……。

だから、断られましたって。妹としてしか見れないって。

体をくっつけたところで、私なんかじゃ」


「体をくっつけた、とか言うなっ。


想像するだろっ!


そこまでした君に、拓真が全然ひっかからなかったとかあり得ないんだけど。」


「全然ではなかったような……気もするんですが」


「わー、もう。答えが生々しいんだって。

さっきの気遣いを見せるのは今だよっ。ちょっとは俺を気にして!」


篤さんが頭を抱える。


「聞いたの篤さんじゃないですか……。」


「そーだね……、聞かなきゃいいよね。

でも聞きたくなくても何故か聞いちゃうんだよー!


っていうか君は照れ屋さんかと思いきや、まさかの肉食系ガールって。」


「違いますって。あの日はどうかしてたんです。」
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