トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「へー、『あの日はどうかしてた』か。


その言葉すらエロく聞こえるとか、俺も大概アホだな。ははは……。」


篤さんが遠い目をして笑う。やっぱり様子が変だ。


「篤さんならやっぱり、断らないですか?


こう……好きじゃない女の人に寝室で迫られたら。」


篤さんの片方の眉が上がり、悲しそうに顔をしかめた。


「何で俺なら “やっぱり” 断らないって思うんだ……。


俺って、女なら誰彼構わずがっつくイメージなのか? 瑞希ちゃんにとって。」


しまった。篤さんの涙目が濃くなってきてる。


「いえ、そんなんじゃなくて。

篤さんが、断れるわけないって言ってたから……」


「それはさ、“瑞希ちゃんを前に” 断れるわけないって言ったの。


ぐいぐい来る女のヒト全般って意味じゃないんだけど。


ついでにさっきの質問に答えると、俺なら特別な女以外には、そもそもそんな隙は作らないよ。


わかった?」


殆ど拗ねている様子で言う。


「……はい」


悪いことを聞いてしまったなと反省しつつも、篤さんってこういう人だったっけ?と不思議に思う。
< 121 / 235 >

この作品をシェア

pagetop