トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「それくらいわきまえてる。いいから離せ。」


そう言っても篤は首を横に振るばかりで手を緩めようとしないので、最後は無理に振りほどくしかなかった。


女の前に脅迫文を撒く。


『不当な手段で篤に近づいたビッチに罰を』

『ブスの素人がいい気になるな』

『次はない。今のうちに芸能界から消えろ』

『警察に届ければ全てを拡散する。いつでもお前を見ている』



「これはお前が送りつけたものだ。盗聴して全てを知った気になるのは楽しかったか?」


女は認めないものの、その苦々しい表情を見れば書いた本人だとわかる。


「こんな醜悪な写真を作って満足か?」


次に、加工された写真を女に突き付ける。


「何これ……気持ち悪い。吐きそうになるから見せないで」


「認めなくてもお前の罪は変わらないけどな」


違う写真も目の前に置くと、再び女が暴れた。


「本当に知らないってば!!写真なんか送ってない!私そういうグロいのとか本当に嫌いだしっ」


泣きながら叫ぶ様子はこれまでとは違っていた。


まさか、これだけはこの女の仕業じゃないのか?




嫌な予感がする。



思案した隙に女は篤にしがみついて、その背後に逃げ込んだ。


「この人本当に怖いんです。篤さん助けて」



写真を送りつけた奴がこの女とは別人だとしたら、


今、瑞希は無事か…………?
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