絶対、好きになれない。
「あの先輩、すいません。この子、男の人駄目なんです。話すのも無理で。」

わたしの目の前に立って才加がそう告げた。

「へ?なにそれ。」

「恐怖症とかのレベルじゃなく、生理的に無理なんで。話とか出来ないんです。」

「え、まじ?ーーーーそっか。それは仕方ないね!俺、東雲楓(しののめかえで)っていうから。話せるようになったらいいね☆」

じゃ、と笑顔で立ち去ってくれた。

『ありがと、才加。』

深く深呼吸する。
嫌な意味で、まだドキドキしてる。

「ごめん、まだひとりにしちゃ駄目だったね!」

『けど、優しい人でよかった。』

ほっと安堵のため息をつく。
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