絶対、好きになれない。
駅に着いた途端、
改札を抜けるとバーっと海が広がる。
開放的で気持ちがいい。

「うわーっ、百合!最高だねっ!」

わたしは愛花ちゃんのサングラスを掛けたまま
うんっ!と心と声を弾ませた。
クラスメイトたちと、仲良くなれたらいいな!
とそればっかり思ってた。

「高峰。安達。」

後ろから声がかかる。
振り向くと、叶くんと仲の良い男子たち
数人が手を上げて改札を抜けてきた。

「同じ電車だったんだな。」

制服じゃなくて私服だからか
みんな大人っぽく感じる。

「そそ!叶やっぱ私服だとイケメン引き立つねー!今日は何人に逆ナンされるかな??」

「....勘弁してくれよ。」

「そうだよ、安達!去年もこいつ、一緒に海来たとき、女の子からのアプローチが酷すぎて途中でひとり退場したくらいだからな。」

「トラウマだよ。」

だから、
あまり乗り気ではなさそうだったんだ。
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