極上社長と結婚恋愛
声だけでドキドキしてしまうようないい声だな、なんて思っていた私は、開かれた扉の中にいたその声の持ち主に目を見開いた。
ダークカラーのデスクに上品な応接セット。そして壁に取り付けられた大きなモニター。機能的でモダンな社長室にいたのは端正な美貌という言葉がぴったりくるような男の人。
社長の椅子に座り上質なスーツを自然に着こなした三十代半ばのその人は、鉢植えを抱えて立ち尽くす私に向かって小さく笑う。
染めているのではなく生まれつきのような自然な明るい髪に、柔らかい視線。綺麗な鼻筋に、普通にしていても微笑んでいるように見えるわずかに口端の上がった唇が色っぽい。
イケメン、なんて軽い言葉は似合わない、上質で洗練された大人の男の人だった。
こんなにかっこいい人が、社長さん?
経営者よりも、俳優さんといわれたほうが信じてしまいそうだ。
思わず見惚れている私の横で、秘書らしき女性が頭を下げ部屋を出る。
パタン、と背後で扉の閉まる音を聞いて、ふたりきりの空間を意識して少し緊張してしまう。
そんな私に、彼が立ち上がり近づいてきた。