極上社長と結婚恋愛
 

「ありがとう。重かったでしょう」
「いえ。このくらいの大きさの鉢なら、いつも運んでいますので」

首を横に振りながら微笑む。

「ご注文のガーデニアです。どちらに置きますか?」
「どこにしよう。窓際がいいのかな」

私の問いかけに、彼が口元に手をやりながら考え込んだ。
こんな大きな会社の経営者なのに、花屋の私に偉ぶりもしない、自然体な態度に好感を持ってしまう。

「この季節なら、日当たりのいい場所がいいと思います」
「そうですか。じゃあこの棚の上にしようかな」

そう言いながら彼が私の目の前まで歩いてくる。
ヒールを履いた秘書の女性も背が高いと思っていたけど、彼はさらに背が高くて驚いた。

端正な顔に、モデルのような長身。そしてこの柔らかなラムズイヤーのような甘く包み込む声。
魅力的すぎる男性を目の前に、思わず息をのむ。

そんな私に彼は小さく笑いながら、私の抱える鉢植えに手を伸ばした。

長い指が触れ、はっと我に返る。
反射的に肩が飛び上がった。

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