極上社長と結婚恋愛
 

なんだろうと思いつつ直哉さんの座るソファに近づくと、ぽんぽんと隣のスペースを叩いてここに座ってと促される。

「なんですか?」

きょとんとしている私に、直哉さんがバッグからなにかを取り出した。

「ここに座って、片手を出して」
「……?」

戸惑いながら、直哉さんの隣に座りおずおずと右手を出す。

「ハンドクリーム塗ってあげる」

そう言って直哉さんは取り出したチューブを大きな手のひらに絞り出す。

「ハンドクリームですか?」

ふわりと漂うさわやかなレモンの香りに私は目を瞬かせる。

「あずさちゃんの手荒れがかわいそうだったから、いいハンドクリーム探してみたんだ」
「私のためにですか? ありがとうございます」

忙しい直哉さんが、私の手荒れなんかのためにハンドクリームを探してくれたなんて。
嬉しくて笑顔でお礼を言うと、優しく微笑みかえされた。

「イタリアのブランドなんだけど、厳選したハーブとか草花の油脂が原料のオーガニックのハンドクリームなんだって」

そう説明しながら、直哉さんが私の手を取った。


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