極上社長と結婚恋愛
 

きょとんとしていると、直哉さんが私の手に丁寧にクリームを塗っていく。

「あ、あの、直哉さんが塗ってくれるんですか?」
「そうだよ」

突然のことに驚いて真っ赤な顔でたどたどしく聞くと、当然のように頷かれてしまった。

ハンドクリームを探してくれたのは嬉しいけど、こうやって手に塗ってもらうなんて予想外だ。
手が触れるだけでも恥ずかしいのに、いたわるように優しくハンドクリームを塗りこまれ、私は緊張で体を固くする。

カサカサな手のひらや、固くなった親指のつけね。潤いのない指の股や、ささくれだった指先、草木の灰汁が染みこんだ爪。

男らしい長い指が優しく動き、私の手の上を隅々までなぞっていく。

「……っん!」

指の股をマッサージするようになぞられ、思わず肩が飛び上がった。

「どうしたの?」

過剰な反応に小首をかしげられ、ぶわっと顔が赤くなる。


 
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