極上社長と結婚恋愛
 

「あの、ありがとうございます。でも、ハンドクリームなら自分で塗れます……」

うつむきながら言うと、手に触れている指に力が込められた。

「こうやって触られるの、いやだった?」
「い、いやじゃないんですが……」

恥ずかしいです、と吐息を振り絞るようにつぶやくと、指をからめとられた。

まるで恋人同士のように、隙間なく指を絡ませ手をつながれて、また緊張で肩が揺れる。

「大丈夫。恥ずかしいだけなら、慣れるよ」

ちっとも大丈夫じゃないです。心の中でそう反論する。

「こうやって、ハンドクリームを塗った後、しばらく手のひらでふたをするように押さえてあげるといいんだって」

直哉さんは優しく言って、つないでない方の手で私の手の甲をぎゅっと包み込む。

「まだ、ですか……?」

いつまでこうやって手を握られているんだろう。
早く離してくれないと、ドキドキしすぎて心臓が破裂しそうだ。


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