極上社長と結婚恋愛
涙目で直哉さんの顔を伺えば、涼しい顔で「もうちょっと」と笑う。
緊張で体温が高くなり、肌の上に塗られたハンドクリームがとろりと溶けだしていくような気がした。
とくんとくんと脈打つ鼓動が、きっと手のひらを通して直哉さんにも伝わってる。
いたたまれなくてうつむいてばかりいると、頭上から笑い声が落ちてきた。
おずおずと視線を上げると、驚くくらい甘い表情で微笑まれる。
「そうやってうつむいていると、あずさちゃんの耳がよく見えるね」
「耳、ですか……?」
なんの変哲もない耳なんて、見ていて面白いのかなと首をかしげる。
「いつもは白い耳たぶが、赤く染まっていくのがかわいい」
そんな意地悪な言葉に、血液が一気にのぼってくる。
目を見開いた私に向かって楽しげに肩を揺らした。
「ほら、あの花みたいな綺麗なピンク色になった」
そう言った直哉さんの視線の先には、アプリコットピンクのトルコギキョウ。