極上社長と結婚恋愛
 
ガーデニアの鉢を見下ろしながら、楽しげな甘い声でつぶやく。その横顔が色っぽくて、見惚れそうになってしまう。

「もし元気がなくなった時はお電話いただければ、土を入れ替えたり肥料をあげたり、ご相談に乗りますので」

私はそう言ってからはっとした。
こんな立派な会社の社長が鉢植えのお世話を自らするわけがない。なにを長々といらない説明をしてるんだろう。

「すみません。こういうことは秘書の方にお伝えしたほうがいいですよね」

失礼しましたと頭を下げた私に、彼がくすくすと笑いながら首を横に振る。

「いや。自分で育てたいと思っていたから、親切に教えてもらえて嬉しいです。ありがとう」

柔らかい視線がガーデニアからこちらに流れてくる。笑みを含んだ甘い声でお礼を言われ、思わずドキッとしてしまう。

「いえ」とかぶりを振りながら、少しでも自分の心を落ち着かせようと視線をそらすと、壁に設置されたモニターが目に入る。

社長室にこんなに大きなモニターなんて、なんのためなんだろうと思っていると、頭上でくすりと小さな笑い声がした。

 
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