極上社長と結婚恋愛
 

「なにか気になるものでもありました?」

そう問われ何の気なしに顔を上げると、窓辺にいたはずの彼がいつの間にか私の横にいてこちらを見下ろしていた。

「……っ」

思いがけず近い距離で視線が絡み、驚く。近くで見てもその端正さに変わりはなくて、滑らかな肌の上に睫毛の影が落ちる様が色っぽさに、思わず目を奪われ言葉を無くした。

じわりと彼に見られている頬や耳たぶが熱くなっていく。

そんな私の挙動を不思議に思ったのか、彼が小首をかしげて微笑んだ。

……人の顔を凝視して黙り込んでるなんて、絶対変だと思われた。
見惚れてたことをバレないように、なにか話さなきゃ。

「あの、大きなモニターだなと思って……」

とりつくろうようにそう言うと、彼が柔らかく笑う。

「あぁ、打ち合わせで使ったりするんで」
「打ち合わせ、ですか。な、なんのお仕事をされている会社なんですか?」
「CGとかVRを使ったイベントやプロモーションを企画するのがメインだったけど、最近はインターネットの広告事業やアプリ開発にも力を入れてるから、平たく言えばIT系、かな」

上気した頬を誤魔化したくてどうでもいいことを話し続ける私に、彼は嫌な顔もせずに優しく答えてくれる。

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