極上社長と結婚恋愛
「直哉、ちょっといいか?」
そう言いながら入ってきたのは、シンプルなニットに細身のデニムというカジュアルな格好をした男の人。
少しウエーブのついた黒髪や男らしい顔立ち。そして低い声。ワイルドな印象のその人が、私を見て足を止める。
「あ、悪い来客中だと思わなかった。邪魔したか?」
「少しね」
社長が言いながら小さく肩を上げて笑う。
「じゃあ出直すわ」
そう踵を返そうとした黒髪の彼に慌てて声をかけた。
「いえ、もう失礼しますので! すみません、お仕事中に長居をしてしまって」
私が頭を下げると、「こちらこそ」と優しい声が降ってきた。
「引き留めてしまってすみません。お話ができて楽しかったです。ありがとう」
顔を上げれば綺麗な顔に微笑みかけられ、思わず胸が高鳴った。