極上社長と結婚恋愛
「いらっしゃいませ」
顔を上げると、店に入ってきたのはショートカットの活発そうな女性。友人の石沢夏美だ。
「あずさ、ひさしぶりー」
かわらない明るい笑顔につられて私も笑顔になる。
「ひさしぶり。今日はお休み?」
「うん。誠吾は仕事で暇だから遊びに来た」
夏美は私が店を開く前に勤めていた大きな生花店の同僚だった。私は高校卒業と同時に就職し、夏美は大学を卒業してから花屋に入ったから私の方が勤務歴は長いけど、気軽になんでも話せる同い年の友達だ。
「花屋に勤めてると、なかなか土日は休めないもんね」
夏美の彼の誠吾さんはサラリーマンで土日と祝日がお休みだけど、お客様相手の花屋では店員がたくさんいる大きなお店でも、週末のお休みは取りづらい。
「仕方ないけど、彼氏とめったに休みが被らないのはキツイよね。そろそろお店やめようかなぁ」
夏美の言葉に思わず身を乗り出す。