極上社長と結婚恋愛
「なに?」
真剣な私の表情に、ソファに座っていた直哉さんが不思議そうに体を起こした。
「私、しばらく家を出ます」
「え?」
直哉さんの表情が険しくなる。けれど私は動揺を隠して用意していた言葉を続ける。
「会場の装花を頼まれてるパーティーまでもうそんなに時間がないので、仕事に集中したいんです。だから、お店に泊まり込みます」
「でも……」
心配そうに顔を曇らせた直哉さんの言葉を遮って、私は頭を下げた。
「大切なウエディングのブーケやお花を私に託してくれたお客様に満足してもらえるように、一生懸命頑張りたいんです」
はっきりした口調で言うと、直哉さんはあきらめたようにため息をついた。
「わかった。でもちゃんと食べて、ちゃんと寝て、無理して倒れたりしないようにね」
そう言ってくれる優しい直哉さんに、胸がずきりと痛くなった。