極上社長と結婚恋愛
 

気分が花に出てしまう私が、直哉さんに失恋して落ち込んだまま幸せなウエディングブーケを作れるだろうか。
正直今は自信がなかった。

せっかく私のブーケで式をあげたいと言ってくれたお客様を落胆させたくない。
最高に素敵で心から満足できるものを作り上げたい。

だから、せめて請け負ったウエディングパーティーが無事に終わるまでは、結論を出したくなかった。

問題を先延ばしにして逃げるなんて、自分でも卑怯で臆病だと思う。

だけど、目の前の仕事をやりとげるまでは、直哉さんと距離を置いて仕事に集中する方法しか思いつかなくて、これは戦略的撤退ってやつだ、なんて都合のいい言葉で自分を弁護してみる。



閉店間際、作業台に置いていたスマホが震え、画面にメッセージが表示された。

『お疲れ様。なにか食べたいものとか必要なものがあれば、仕事帰りに差し入れするよ』

私が家を出てから約一週間。直哉さんはこうやって、私の様子を心配して一日一度は連絡をくれていた。


 
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