極上社長と結婚恋愛
「工藤さん……?」
工藤さんはいつも無口で不愛想だけど、今日は雰囲気が違う。
どうしたんだろう。なんだか、すごく怖い。
思わず後ずさり距離を取ると、怯えた私の表情を工藤さんがじっと見る。
「福原さん、結婚したばかりなのに最近ずっとお店に泊まり込んでますよね。なにか家に帰れない事情でもあるんですか?」
ぼそりと問われ、目を瞬かせた。
そうだ、工藤さんはブーケの写真を見て、私が結婚したと勘違いしているんだっけ。
「えっと……」
なんと答えようか戸惑っていると、確信したように工藤さんが語気を強める。
「浮気ですか? 暴力ですか? あの男が、福原さんにひどいことをするから帰れないんですよね?」
怒りをたたえた低い声で問い詰められ、私は首を横に振る。
「ちがいます。そんなんじゃ……」
「あんな男より、俺にすればよかったのに」
けれど工藤さんは私の言葉なんて耳に入らないようで、怖い表情のままこちらに近づいてくる。