cafe レイン
『その時のオーナーさんの反応見てからでもいいんじゃない? 私はオーナーさんが楓のこと、いちお客さん以上に想っているように感じたから』
「……うん」
『決まり。じゃあまた月曜日ね。おやすみ』
「おやすみ」
通話を終えた私は冷めてしまったお弁当を食べ始める。律ちゃんに話せて、心なしか気持ちが軽くなっていた。
それから私は律ちゃんに言われた通り、丸山さんのブロックを解除した。
ブロックしていたから、何か連絡が来ていてもわからない。通知は来ない。
それでもよかったと思った。
月曜日。
こちらの様子を窺っている沖くんに苦笑した。どう反応したらいいかわからないのだろう。
「おはよ、沖くん」
「おはようございます……、ん~、元気、そうですね」
腕を組んで手を口元に当てながら難しい顔をしてそう言う沖くん。
「はは、元気元気。ね、律ちゃん」
隣にいる律ちゃんに話を振ると、律ちゃんはニヤリと意地悪く笑う。
「楓は元気元気。今日オーナーさんのところ行くし」
それで沖くんは勘違いしてしまい「うまくいったんですか!」って笑顔になった。だけど、私の反応が良くないことを見るとまた顔を曇らせる。
「女心ってわかんないっす」
って、肩を落としながら口を尖らせて言うから私と律ちゃんは顔を見合わせて吹き出してしまった。
少し意地悪しすぎた。って反省しながらも沖くんが私を心配しているからだって思うと心が温かくなった。