ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「、は、……っ」

ああーマズイなー。連日の疲れで酔いが回んの、今日は早いみたいだ。

酔いじゃなければ説明がつかない。

ちょっとイラっとしたから、顎を掴んだ理由付けに丁度いいと、こいつの頬を思いっきりひねきってやろうとしただけだった。

なのに、こいつの顎から親指を滑らせた時。

不意に当たった唇が、驚くほど柔らかくて、思わずこいつの口内に親指を強引に突っ込んでしまった。

あーおいおい。変態なのは俺か?

アルコールで手が勢い余ってしまった。で、言い訳が果たしてつく事態だろうか。

「……っ!」

くちゅ、と。妙に生々しく響いた音に、心臓が跳ねる。

親指に、じかにこいつの温度と感触が纏わりつく。

わー……ヤバいな、つい自動的に変なスイッチが入りそうだ。

早く抜かなければ、と思うのに、拒むのを迷うような歯の開き具合とか、ふ、と息を吐く湿度が親指を侵すような感覚に、より深く指を進入させてしまう。

口をこじ開けさせ、くちゅ、くちゅ、とゆるゆるかき混ぜ、どんどん言い訳がきかない深みにはまっていく。

……相手はど変態女だってのに。


社優李を今すぐ押し倒して、その唇に思い切り噛み付きたい衝動が加速する。
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