ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
普通、好きな男にこんな度々無能なんて言えないし、第一まけぃたなんてアホ丸出しのあだ名で呼び続けねぇよ。

(むしろ、あだ名はあだ名でも仇名だろ、コレ。)


もうオーナーの言葉に振り回されるのはここまでだ。

そう決意し、コイツの周りに散らばった絵の具やらクレヨンやらを避け、そばに置いてある閉じられたスケッチブックを拾おうとすると、

「!」

思い切り胸ぐらを掴まれ、またしても既視感を覚えるバランスの崩し方で前のめりに倒れこむ。

……ほんと腹立つな。コイツと居たら、いつも全てがスマートにいかない。

「だから痛ぇよ」

「わたしもいたいよー」

「何がしたいんだよ、お前」

「今したいことは群を抜いてひとつだよ!」

言うが早いか、コイツは俺の右手を取って自分の唇に乗せると、懇願するような上目遣いで言った。


「まけぃた、昨日出来なかった“あの続き”、もっかいして?」

「ーー」


“もしかしたら、先にリミッターが壊れちゃうのは神山くんの方かもしれないわね”



ココでコレ思い出すとか、なんなんだよ。


< 34 / 144 >

この作品をシェア

pagetop