ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「うん。先週しょうこちゃんがさー、官能的でエッロイの、油絵で二作品、急ぎで仕上げてって言うからー」

オーナーどんな注文の仕方だよ!
そう言われてもう一度見て魅ると、途端に、目眩に似た羞恥心がこみ上げる。


「先週って、まさか、これ、」

「ふふ、キス、超エロいよね、“彗大”」

「!」

薄々気づいていたが、コイツはとんでもないアバズレ悪女だ!

あの時、やたら念入りに積極的なベロチューしてきたかと思ったらそういうことか!

知らず知らずに、自分の企画外の仕事まで手伝わされていた事実に先週の自分をぶん殴りたくなる。

当初、コイツは声フェチで、自分の作品にしか興味のないぼーっとした変態女かと思っていた。が。

検証した感想は、全く逆の計算高い女だった。


日頃、パーフェクトビューティなオーナーのそばにいることと、声フェチド変態というインパクトが強すぎて気付くのにかなり時間はかかったが。

そのフィルターを取り外して良く見てみると素材もかなりいい方なのだ。

割と恵まれた顔立ち、
キメ細かく触り心地のいい肌、
男が地味に喜びそうな体型、
至近距離に入った時の理性が揺らぐ香り。

初めて唇に指が触れた時、本能的に“スイッチ”が入ったのも、多分それだと今なら頷ける。


「二作品って、あと一作は?」

「只今模索中」

指をピッと指した先は、先ほどの真っ白なキャンバスだ。

「………。」

なんだか、この流れは、嫌な予感がする。

「ねーまけぃた」

「なんだよ」


俺が作ろうとして作った流れじゃないのに、ハードルの高い要求をされる予感しかしない。


「とりあえずなんかエッロイ声出して?」

「バカかお前は」

俺はお前のAV声優じゃねぇんだよ!

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