ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
ゼーハー息を切らせながらとか、めちゃくちゃカッコつかないんですけど……!

ナンパ男に割って入るようにストップをかけ、コイツの肩を抱き寄せる。

「悪いけど!他、あたって」

敵意剥き出しの一言が効いたのか、かませ犬は早々に立ち去ってくれた。


「おい」

「なにー」

「アイツでナンパ何人目」

「……1人目。」

「嘘つけ。チョロチョロ逃げ回ってたくせに」

「しつこめの勧誘とかもあったから」

「とかも、ね」

あークソ。ムカつく。普通にモテてんじゃねーよ!変態女のくせに。

割と昔から満たされてきていて気付かなかったが、どうやら俺の独占欲はかなり強めだ。

彼女でもない女にこの執着って。あー俺、ガチでうぜー男だろ。

「次からは、困ってんならさっさと電話しろよ」

「困ってなかったら?」

「……」

「困ってなくても電話、してい?」

「!」

なんっだコイツ、一回落としてから上げてくるとかやめろよなあざと女。
いつも可愛くみえてクソ困ってんだからこれ以上技かけてくんなよハイテク女め……!(ここではハイテクノロジーではなくハイテクニックの略)


もうイチイチ悪態つかなきゃ平静装って向き合うのが難しいって、俺、どんどん歪んできてないか?

「別にいつも掛けてくんじゃねーか」

「ちゃんと用事ある時だし」

「マック買って来いとかミスド買ってこいとかな」

改めて振り返るんじゃなかった。
パシられる以外でコイツからの電話がきたことなくて侘しくなるわ。

「さっさと事務所、行くぞ」

肩を抱き寄せたままも独占欲剥き出しかと、腕を掴んで歩きだす。

「連行されてるみたーい」

「連行してんだよチョロチョロ女」

これ以上技かける暇を与えたら、事務所じゃない場所に連行先を変更しかねない。

事務所までの徒歩5分間、誰にも悟られないよう、この顔の緩みを引き締めた。
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