ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
近くのスーパーで何日分かというほど買い物をして。

ああ、俺はとことん浮かれてる。

料理なら使い勝手的にコイツの家の方がいいかとも思ったが、コイツがすんなり案内してくれるとは考え難くて俺のマンションに招待する。

「……お邪魔します」

「はい、どーぞ」

一言添えて家に入ったり、靴を揃えて上がったり。
意外にきちんとしていて内心驚く。

実家ウケが良さそうだとか、自分ちにコイツがいる空間に未来を馳せたとか、その辺の妄想は死んでも言えないが。

一応自分をフォローしとくと、俺は今まで女をこの家に上げたことは一度もない。

個人情報は基本、秘匿派なのだ。


「調味料とかはこの辺と冷蔵庫、もし買ってきた食材で足りなかったら冷蔵庫の中身も使っていいから」

「はぁい……」

かなり強引だったが(今も嫌々感が否めないが)、強行して良かった。

流し台で腕を捲って手を洗うとこなんて、付き合いたてでも中々見れない構図だ。

「彗大」

「んー」

「そんな隣で見られてたらやりづらい」

「だろーな」

やばいな。そう言われたら立ち去るのがマナーなんだろうが、野菜を洗って刻んでるだけのこの光景を目に焼き付けたくて仕方ない。

(うわー俺ってマニアック。)


「そんな手際とかよくないから……アッチ行ってて、欲しい」

待て待て待て!なんだその本気で恥ずかしそうな表情は!

いつもの計算高さがなくて、、やばい!


「……じゃあ、分かんねーことあったら呼んで」

格好つけて言ってみたが、顔が熱い。絶対真っ赤だ。

これ以上ここにいるとボロが出まくりそうなので、一時退却するとしよう。

と、待て待て待て!


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