ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「お前、何こそっとスマホ開いてんだ」

「! 別になにも」

言い訳する前にサクッとスマホを取り上げる。

「あ、クックパッドで“簡単 時短 うまい”検索してやがる!」

「かっ、勝手にスマホ見るとか最低ーっ!」

「せめてお前、“おもてなし”とかで検索しろよ!」

恥ずかしがる理由はここにあったのか。

激レアの赤面顔でスマホを取り返しに来るコイツに、初めて勝ったと内心ガッツする。


「もてなす余裕なんてわたしにあるわけないでしょぉー?!」

なんてこった!実家ウケ株が急落する事態だ。つーか、凝った時期あるって言ってなかったか?

「じゃあお前、普通に何なら作れんだよ?」

「………」

「いっとくけど、チーズ盛りとかウインナー盛りは料理とは言わねーから数に含むなよ」

今、“簡単 おもてなし”で検索して開いたばかりのページを目ざとく指摘する。

別に簡単でもいい。けど、誰かの味ではなくお前の味がいいという男心がわからんかなーあざと女子の癖に。

「まぁ考えるほどいっぱいレシピあるなら、」

「もやしのナムル、豆腐サラダ、ハンバーグ!」

て、ほぼアテじゃねーか!

これはハンバーグもあんまり期待は出来ないかもしれない。

腕まくりをして、俺も流し場で手を洗う。

「え、」

「お前はその3品気合い入れて作れ!俺も3品なんか作る!」

「えー……」

「文句言う暇あったら作れ!」

こうして、片恋相手からのおもてなしは想定外のクッキングバトルに形を変えた。
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