ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「俺、やっぱやるな」

「自画自賛うざーい」

もやしのナムルに、豆腐サラダとハンバーグがコイツで、
揚げ出し豆腐にタラの竜田あんかけと大根の味噌汁が俺。

食卓に並べるまで、とにかくガチのバトル勃発続きで大変だった。

「わたし豆腐サラダなのになんで揚げ出し豆腐なのー?!」

「俺のテッパンなんだよ!食ったらやべーぞ!そんな偉そうな口利けねぇーからな!」

「ハンバーグはひき肉と塩でまず捏ねてから混ぜんだよ!」

「知ってるよ!ちょっと久しぶりで間違えそーになっただけじゃん!」

「ピーマンの比率が少ない!しいたけと人参ばっかじゃ綺麗に仕上がらないよ!」

「うるせーな!いれりゃいいんだろ、いれりゃ!」

「あー!ダメ!それ以上野菜に火を通したら彩りが落ちる!!」

「俺はトロッとしたあんに絡む柔らかめの野菜が好み……」

「色が死ぬから絶対ダメ!!」


当初予定してた和やかな流れとはいかなかったが、これはこれで割と楽しんでいた自分が居た。

ふたりの合作が、こう目の前にあるのは感動するものがある。

彩りについては流石コイツ。インスタとかあげるタイプじゃないが、写真めっちゃ撮りたい。俺のあんかけも今までで一番美しい出来だ。これはひとつの芸術作品と言える。


「お前、焼酎は飲めるクチ?」

「うん」

「じゃ、これ開けるか」

「!」

嬉しかろー嬉しかろー。
この焼酎に目がない事はリサーチ済みだ。

(オーナーに洗いざらい吐かされた対価として、お前の一番好きな酒を教えてもらっていた。)

女相手に酒の力を借りるのは忍びないが、コイツ相手に手段を選んでいたら前に進むものも進まねぇ。

特にコイツは、酒を飲むと本音をこぼしやすい。前科がある。

今日こそコイツに本音を吐かせて、あのプロポーズの返事の真意を聞いてやる!

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