ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「あ、地味にうまい」
「彗大、それどーいう意味ー」
「色合い重視なのかと」
「もー食うな」
「あ、マジで取り上げんなよ!」
今までとは違って対等な目線で軽口が飛び交い、楽しい食事兼宅飲みが始まる。
「!この揚げ出し豆腐、とろけるぅ……!」
「だろ!やべーだろ!」
一週間以上会えなくて、この至近距離の清い戯れは、正直拷問の域ではあるが。
「つーか、この煮込みハンバーグの味付けもヤバイな。めっちゃ箸進む」
「でしょー?唯一胸張って作れる定番メニュー」
「なに、母親も料理あんまなの?」
「おかーさんはめっちゃうまいよー」
「じゃあ唯一受け継がれたのがこのハンバーグ?」
「ちがうよー。ハンバーグは別に師匠がいるの」
なんだろう。今までの俺なら多分聞き流していたであろうこの発言。
俺のコイツ専用アンテナが不穏電波をキャッチする。
これは聞いてもモヤモヤする類のものだという自覚があってあえて聞く。
「それ、だれ?」
「高校の時の、教育実習できた音楽の先生」
「女?」
「……男」
エロい!ひたすらエロいと思うのは俺だけか?
たかたが二週間ほどしかいない音楽の先生がいつこんな絶妙なハンバーグの作り方教えられんだよ?
「元カレ?」
「どーかなぁ。そのひと恋人いたし」
アウト!なに二股とか許してんだよ、尻軽女め!
「なんでも器用で、すっごい繊細な音を奏でるひとだったなぁー」
そりゃさぞ料理も女も器用に奏でた男だったんだろうよ。
「その人の音も、すっごいヨクてー」
酒の効果がこんなところで表れるとは。包み隠さず話される元カレもどきの過去に、ハンバーグへの箸が止まる。
コイツはと言えば、機嫌よくロックアイスをグラスに入れ焼酎を注いでいる。
なんだろうか。こんだけ喋られると、逆に煽られてる気がするのは、俺が自意識過剰なだけか?
もしかしてコイツは。
「なぁ」
「なにー」
「まだ、根に持ってる、とか?」
「!」
スルリと焼酎のボトルがわかりやすく滑り落ちるのを見て、ハシッとキャッチする。
ゴトリとボトルを置き直して、もう一度言う。
「彗大、それどーいう意味ー」
「色合い重視なのかと」
「もー食うな」
「あ、マジで取り上げんなよ!」
今までとは違って対等な目線で軽口が飛び交い、楽しい食事兼宅飲みが始まる。
「!この揚げ出し豆腐、とろけるぅ……!」
「だろ!やべーだろ!」
一週間以上会えなくて、この至近距離の清い戯れは、正直拷問の域ではあるが。
「つーか、この煮込みハンバーグの味付けもヤバイな。めっちゃ箸進む」
「でしょー?唯一胸張って作れる定番メニュー」
「なに、母親も料理あんまなの?」
「おかーさんはめっちゃうまいよー」
「じゃあ唯一受け継がれたのがこのハンバーグ?」
「ちがうよー。ハンバーグは別に師匠がいるの」
なんだろう。今までの俺なら多分聞き流していたであろうこの発言。
俺のコイツ専用アンテナが不穏電波をキャッチする。
これは聞いてもモヤモヤする類のものだという自覚があってあえて聞く。
「それ、だれ?」
「高校の時の、教育実習できた音楽の先生」
「女?」
「……男」
エロい!ひたすらエロいと思うのは俺だけか?
たかたが二週間ほどしかいない音楽の先生がいつこんな絶妙なハンバーグの作り方教えられんだよ?
「元カレ?」
「どーかなぁ。そのひと恋人いたし」
アウト!なに二股とか許してんだよ、尻軽女め!
「なんでも器用で、すっごい繊細な音を奏でるひとだったなぁー」
そりゃさぞ料理も女も器用に奏でた男だったんだろうよ。
「その人の音も、すっごいヨクてー」
酒の効果がこんなところで表れるとは。包み隠さず話される元カレもどきの過去に、ハンバーグへの箸が止まる。
コイツはと言えば、機嫌よくロックアイスをグラスに入れ焼酎を注いでいる。
なんだろうか。こんだけ喋られると、逆に煽られてる気がするのは、俺が自意識過剰なだけか?
もしかしてコイツは。
「なぁ」
「なにー」
「まだ、根に持ってる、とか?」
「!」
スルリと焼酎のボトルがわかりやすく滑り落ちるのを見て、ハシッとキャッチする。
ゴトリとボトルを置き直して、もう一度言う。