鬼部長に溺愛されてます
急いでその背中に手を掛けて覗き込んだ顔は真っ青だった。
「部長、大丈夫ですか!?」
「……たいしたことはない。ちょっと目眩がしただけだ」
部長がこめかみに手を添えて目を閉じる。
大丈夫だとは言うけれど、このまま帰すわけにはいかない。
「私の部屋で少し休んでいってください」
「いや、そういうわけにはいかない。大通りでタクシーを呼ぶから大丈夫だ」
足を踏ん張って懸命に立ち上がろうとするけれど、部長は再び力なくその場にうずくまった。
「やっぱりこのまま帰すわけにはいきません」
彼の腕を掴んでなんとか立たせ、1Kの私の部屋へと招き入れる。
桐島部長をソファに寝かせ、冷やしたタオルを額へと置いた。
「……悪いな、水原」
「いいえ。それより、具合はどうですか?」