【完】姐さん!!
腕を広げれば、なるみがもぞもぞと起き上がる。
でもどうしていいのかわからなかったらしい。ただ俺の目の前にちょこんと座っただけ。
「こっち」
その腕を引いて抱き寄せれば、なるみの肩が跳ねる。
なんとも言えない顔で俺を見上げたけど嫌ではなかったのか、腕の中でおとなしくなった。
……そういうとこ、すげえ好きなんだけど。
「俺さ、女の子との関係ぜんぶ切るから」
「え……」
ぱちぱちと、なるみが瞬きする。
おどろいたその表情さえも愛しくて、本当にベタ惚れだなと分かりきっていたことをいまさら自覚した。
「もういいや、って思って」
「何よりも女の子を優先する衣沙が……?」
いや、何よりも優先してんのはなるみだけどな。
なるみが兄貴のこと好きじゃなかった上に、中学の時のことは単なる俺の誤解だった。なら、もう遊ぶ理由なんてないし。
「……あれ?
それじゃあ、もう、わたしと付き合ってるフリする必要なんてないのよね?」
……あ、やべ。
「いや、そこは付き合ってるフリしとこ。
女の子たちに迫られたら断る言い訳にできるし」
「わたしのこと言い訳に使わないでよ……」