【完】姐さん!!
じゃあ、衣沙は。
ずっとわたしのこと、想ってくれてたの?
わたしの「衣那くんが好き」って言葉のせいで。
もしかしてずっと、思い悩んでた?
「っ……」
流くんに、好きだって言われた時。
そんな素振りはなかったから本当に驚いて、「ずっと好きだったよ」って言ってくれた流くんの気持ちに微塵も気づかなった自分の浅はかさに、思わず泣いてしまった。
だけど。
それ以上に、気づかなきゃいけなかったこと。
「おい、泣くなよ……?」
うつむいたまま黙り込んだわたしに、ニナくんがおそるおそる声をかけてくる。
だけど声を発したらそれこそ泣いてしまいそうで、こくこくとうなずいた。
「衣沙……」
いつから、だったんだろう。
わたしが衣沙を好きになったのは中学生のときで、それ以前はずっと衣那くんのことが好きだった。
だけど、一体、いつから。
衣沙は、わたしのことを好きでいてくれたんだろう。
「ニナくん、わたし……」
ぐっと涙をこらえて、顔を上げる。
衣沙のところに行かなきゃって気持ちで、頭の中はいっぱいで。
「……頑張ってこいよ」
すこしだけ口角を上げて。
笑って見送ってくれるニナくんに、「ありがとう」とお礼を言った。