【完】姐さん!!



いるかどうかは分からないけど、会いたいから、衣沙の家に行こうと思う。

そういえばいつも衣沙がわたしのことを迎えに来てくれるから、近所なのに衣沙の家に行くのはひさしぶりで。



すこしでもはやく会いたくて、気持ちだけが逸る。

……もし、家にいなかったらどうしよう。



連絡してみようかな。

今日じゃなきゃ、もう、言えない気がする。



っていうか、言わせて欲しい。

ちゃんと衣沙に、好きって言いたいの。



「っ、はあ、」



ひさしぶりに走ったせいで、衣沙の家に到着した頃には完全に息が上がってしまっていた。

省エネ派の幼なじみと体育の授業をサボっているせいで、完全な運動不足だ。



……って、そうじゃなくて。




「いる、かな……」



息を整えるついでに深呼吸して、ピンポーンとチャイムを鳴らす。

ドキドキしながら待つこと数秒。ガチャッと、扉が開いた。



「なに、忘れ物でもした?

俺いまからシャワー浴びたいん……だ、けど、」



そこから姿を見せたのは、まぎれもなく衣沙で。

いま一番会いたかった人。……なのに。



「衣沙……」



"やらかした"って、顔に出てる。

誰が戻ってきたと勘違いしたのか知らないけど、なぜかジーパンを履いて上半身裸の衣沙。



胸元に残った赤いそれが何なのか、衣沙に同じものをつけられたわたしは理解してる。

「慰め合う」なんて名目があったせいで、わたしとおそろいのネックレスだけが、やけに存在感を主張していた。



< 158 / 263 >

この作品をシェア

pagetop