【完】姐さん!!
いるかどうかは分からないけど、会いたいから、衣沙の家に行こうと思う。
そういえばいつも衣沙がわたしのことを迎えに来てくれるから、近所なのに衣沙の家に行くのはひさしぶりで。
すこしでもはやく会いたくて、気持ちだけが逸る。
……もし、家にいなかったらどうしよう。
連絡してみようかな。
今日じゃなきゃ、もう、言えない気がする。
っていうか、言わせて欲しい。
ちゃんと衣沙に、好きって言いたいの。
「っ、はあ、」
ひさしぶりに走ったせいで、衣沙の家に到着した頃には完全に息が上がってしまっていた。
省エネ派の幼なじみと体育の授業をサボっているせいで、完全な運動不足だ。
……って、そうじゃなくて。
「いる、かな……」
息を整えるついでに深呼吸して、ピンポーンとチャイムを鳴らす。
ドキドキしながら待つこと数秒。ガチャッと、扉が開いた。
「なに、忘れ物でもした?
俺いまからシャワー浴びたいん……だ、けど、」
そこから姿を見せたのは、まぎれもなく衣沙で。
いま一番会いたかった人。……なのに。
「衣沙……」
"やらかした"って、顔に出てる。
誰が戻ってきたと勘違いしたのか知らないけど、なぜかジーパンを履いて上半身裸の衣沙。
胸元に残った赤いそれが何なのか、衣沙に同じものをつけられたわたしは理解してる。
「慰め合う」なんて名目があったせいで、わたしとおそろいのネックレスだけが、やけに存在感を主張していた。