【完】姐さん!!
今回の旅行もデートだしな、なんて。
若干。……若干、俺は浮かれてたんだけど。
「え、なんでなるみ水着じゃねえの?」
ホテルに着いて。
チェックインを済ませて部屋ごとに分かれ、なるみが着替えてくると言うから風呂場に向かったのを見送った。
……のに、なぜか出てきた彼女は普通のワンピース姿。
ただワンピース着替えただけじゃん。
「や、あのね……
水着も用意してあったんだけど……」
「……? 着ねえの?」
「ごめん……女の子の事情で……」
もごもごと言いづらそうな顔をするなるみ。
女の子の事情……って、ああ、そういうことか。
なるせと兄貴に言いたい。
俺の理性どうこうの問題じゃなくなったから。
「いいよ、全然。薄着だけど平気?
顔色は悪くねえけど、お腹痛くない?」
「うん、平気……」
「ならいいけど。
俺着替えてくるし、ちょっと待ってて」
ちょっとだけさみしそうな顔をしてるなるみの頭に、ぽんと手を乗せる。
たぶんなるみも、海には入りたかったんだろうけど。満月ちゃんたちの仕事の事情に合わせてしまったから、もうどうしようもないし。
女の子の事情なんて、俺が分かってあげられるような話でもない。
毎回気づいたときには、精一杯労るけど。