【完】姐さん!!
「いいよ、わがまま言って」
「……せっかく来たんだから、海入って楽しんできてほしい、けど。
さみしいから……いっしょに、いてほしい」
「ん。いい子」
隣に座って、自分に寄り掛からせる。
付き合ってから、ずるい本音を隠そうとするのがなるみの悪い癖。そばにいてほしいなら、素直にそう言ってくれたらそれでいい。
「今度ふたりで海来ようか。
……ここまで遠出はできねえけど、近くにも海水浴場あるから」
「……、ありがとう」
心細いのか、俺を見る瞳は薄ら潤んでいて。
人口密度の高い海を見ながら、なるみの髪を撫でる。……せっかくだから、笑っててほしいし。
「……海に入らなくても、できることあるじゃん。
本気で砂浜で遊ぶとかどう?」
「……お城作る?」
「おっけ、やろっか。
……あとでなるせたち戻ってきたら、軽く足だけ海入りに行こう。こんだけ暑いし水冷たくないと思うけど、身体冷えなくてちょうどいいしな」
テントを出たところで、水だけ汲んでから砂遊びを開始する。
満月ちゃんがなるせたちのところに行ったようで、取り残された兄貴は俺らを見て小さく笑ったあと。
「成長したよね、衣沙」
「兄貴は俺のことどの目線で見てんの?」
ぺたぺたと砂を触っていたなるみが、ふっと吹き出すように笑う。
そこで笑われるのは癪だけど、ちゃんと笑ってくれてるから、まあ良しとしよう。