【完】姐さん!!
「も、もう。デートしよう?
いつまでたってもここにいてどうするの?」
「ん。そうしようか」
なんの違和感もなく、自然に握られる手。
絡んだ指先にいちいち心臓が跳ねる。
改札を通ってホームで電車を待つ。
すぐに来たそれに乗ると、隣に座る衣沙が空いた手で髪を撫でてくれた。
「スカートかわいいね。新しいの買ったの?」
「え、と、この間なるせと買い物に行って……」
……ほんとは、デートするのに服がほしいからって、なるせをむりやり付き合わせたんだけど。
そんなことを知りもしない衣沙は、じっとわたしの瞳を見つめたあと。
「なるせと仲良いよね」
なぜかちょっと不機嫌そうな顔で、わたしを見た。
「え……? うん、仲良いよ?」
「一緒にご飯行くし、買い物も行くし。
……俺よりなるせとデートしてること多くない?」
弟と出掛けるのはデート、なの?
たしかにわたしとなるせは仲良しだから、一緒に出掛けたりするけど。もともと両親の仲が良くて、ふたりで未だに出掛けたりするから、わたしとなるせも一緒にご飯に行ったりするんだけど。
「まあ、なるせは弟だからいいんだけどさ。
あんまり弟ばっかり構ってたら、俺拗ねるよ?」
言葉通り、今度は拗ねたような顔を見せる衣沙。
その表情があまりにもかわいいから、人目がなかったら間違いなく抱きしめてる。