【完】姐さん!!
かっこいいし、かわいいし。
そんな表情がぜんぶ似合ってしまうんだから、本当にずるい。
いつもわたしがやってあげているだけで本当は自分でもできるから、今日の髪は綺麗にセットされてるし。
……この人がずっとわたしを好きでいてくれたという事実に、どうしようもなく嬉しくなる。
「じゃあ、衣沙ともいっぱいデートする」
その肩に、頭を寄せて。
寄りかかれば、彼がくすりと笑みをこぼす。
「……ん。いっぱいデートしような」
「うん、」
目を閉じれば、大事だとでもいうようにそっと頭を撫でてくれる衣沙。
当たり前のように彼女扱いしてくれるけど、これは何もいまにはじまったことじゃなかった。
わたしと本当に付き合う、その前から。
衣沙の態度は、わたしのことだけ大事にしてくれてるものだったんだって、気持ちが通じ合ってからようやく気づく。
「……、どした?」
「このネックレス買ってくれてから、
ちょうど1年ぐらい経つんだなぁって思って」
手を伸ばして触れたのは、衣沙のネックレストップ。
わたしの胸元にも同じものがあって、これを衣沙が買ってくれたのは、1年ほど前に一緒に出かけた時だ。
「……ああ。
この間ネックレスはおそろいだからって誕生日プレゼントにしなかったけど、近いうちに買い換えるか。新しいの買おうじゃねえの」
「……?
わたしこれ、気に入ってつけてるわよ?」
別に古くなったわけでもないし、気に入ってる。
だからこのままでよかったんだけど、どうやら衣沙には気に入らない点があるようで。