【完】姐さん!!
「……キスマークよりよっぽど強引だろ」
衣沙が強引に残した赤い痕は、それだけ想ってくれていた証拠。
さおのだけ先に消えればいいのにって言ってたけど、本当に数日長く、衣沙のだけ残っていたのは秘密だ。
「キスマークはキスマークだけど。
ネックレスって、鎖とか首輪みたいじゃん」
「……そんな物騒な」
「男が好きな女に対して贈るなら、それぐらいの独占欲は持ってるってこと。
首輪とか鎖とか、本物をつけたら明らかに犯罪だろ。ただほかの男に取られたくないっていう独占欲で、俺はなるみのこと縛ろうとしたんだよ」
純粋な理由であげたわけじゃないから、と。
衣沙はどこか言いにくそうにしているけれど。
……べつに、気にするほどじゃないと思う。
わたしが衣沙を好きじゃなかったら、さすがに問題があるかもしれない。
でもわたしは衣沙を好きで、独占されるのも別に悪くないと思ってる。
ネックレスだろうとキスマークだろうと、独占してもらえるのはうれしい。
「じゃあ、
衣沙の策略に引っかかっちゃったのかも」
「……策略?」
「このネックレス、
わたしが衣沙のこと好きになるように仕込んであったんでしょ?」
きょとん、としてわたしを見つめる衣沙。
それから意味を理解したようで、迷惑にならないよう控えめに笑った衣沙は。
「その前から俺のこと好きだったくせに」
付き合う前とは比べ物にならないくらい。
自信のある、意地悪な笑みを見せた。