【完】姐さん!!
「……心配しなくても、兄貴の前で笑ってるなるちゃんはかわいいよ。
兄貴もそう思ってるだろうし、すくなくとも俺はそう思ってる」
「え、」
「さてと、なに食べる?
デザートも食べるって言ってたじゃん」
メニューを広げて彼女に差し出す。
なるみの背中を押すような言葉と、あまり言わない本心を口に出したせいで落ち着かなくなって、誤魔化すための行動だったというのに。
「……なるみ?」
なぜかなるみからの返事がない。
両手で顔を覆ってしまったから、なにか泣かせてしまったんじゃないかとひやりとする。
だけどそれは俺の勘違いだったようで。
なるみが顔を上げると、その頬は赤く染まっていた。
「……え、」
まって、なにその表情。
……なんでそんなに真っ赤になってんの?
「な、なんでもない。
はやく頼も。衣沙もデザート食べる?」
「ああ、うん……」
かわいすぎる表情。
もしかして兄貴がそう思ってるって言ったから?
……いやいや、そこまで照れることじゃないし。
あれ? ならなんで、そんな真っ赤に、なって。
「……もしかして、」