【完】姐さん!!
「っ、」
誰に言われずともわかる。真っ赤だ。
衣沙が「なるちゃん?」とわたしの顔を覗き込もうとしてきたけど、ふるふると首を横に振って離れるのを拒否した。
だって、今顔上げたら真っ赤なのバレる……!
「……、どした?」
「ちょっと、だけ……こうしてて……」
急に甘えるのも恥ずかしいけど、衣沙に真っ赤な顔を見られるのも恥ずかしい。
それにこんな顔見られたら、衣沙のことが好きだってバレバレだろうし。
あと、こんな機会めったにないからもうちょっと抱きついてたい、なんて思ってないけどね。
もうちょっとぎゅってされてたいとか思ってないからね。……た、たぶん。
「……衣沙さん。
すこしデレられたからって黙り込むのやめてもらっていいですか。っていうか顔赤、」
「ちょーっと黙ろうかツキちゃん〜?
んで、なんだっけ? 何の話してたっけ?」
「霧夏のトップが姐さんって噂の話ですよ」
頭の上で、ぽんぽんと言葉が交わされる。
そろりと手のひらを上げて頬に触れてみたら、やっぱりものすごく熱かった。
「ああ、ね。
ま、そういうわけだから、何かしら俺通してくんない?できれば喧嘩はしたくねえんだけどさ」
「仮にも関東西のトップとは思えない発言ですね」
耳の奥に残るのは、聞こえるか聞こえないか程度の、衣沙の独白。
……わたしを危険な目に遭わせるわけがない、って。