【完】姐さん!!



「ねえ、衣沙……

もしかして、責任感じてるの……?」



中学1年生のとき。

わたしは、嫌がらせを受けていた。……言わずもがな、衣沙の幼なじみというだけで。



当時はまだ、女癖も悪くなかった彼。

その衣沙の気を惹きたい女の子は多くて、わたしは何度も何度も陰湿な嫌がらせを受けてきた。



その中で最もひどかったのが、ストーカー。

……とはいっても、別に何かされたわけじゃない。ただ、決まって衣沙がちかくにいない時だけ、登下校や学校内で視線を感じるようになって。



何もされてはいないけど、ねっとり纏わりつくような視線を向けられているのが、ただただ怖かった。

でも、うれしいことに男子から告白されることも結構あって、誰なのかを特定できなかった。



だから衣沙にストーカーされていることを話せなくて。

おそらく、ストーカーされていることに気づいてから3ヶ月ほど経ってからだと思う。



衣沙が『用事あるから先に行く』って、めずらしくひとりで先に登校してしまった日。

わたしが学校に行くと、教室が騒然としていた。




床に座り込んで泣いている女の子がひとり。

そしてその子を取り巻く女の子たちも泣いていて、先生たちも何人か来ていた。



そしてその先生たちに囲まれていたのが、衣沙で。

わたしを見るなり、駆け寄ってきたのは学年主任の先生だった。



「粟田さん、ストーカーされてたって本当?」



「え……?」



頭の中に浮かぶ、"なんで?"という疑問。

だってわたしは、その話を、誰にもしていない。



「目黒くんがね──」



先生たちがここに駆けつけた時。

衣沙は床に座り込んで泣きじゃくるあの女の子に馬乗りになっていたらしい。



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