【完】姐さん!!
デートの待ち合わせは来週の日曜10時に駅前。
それを把握していれば、予定を潰すのは簡単なこと。
「来週の日曜さ、女の子との予定なくなって空いたんだよね。
出掛けたいんだけどその日空いてない?」
『来週の日曜……?
ごめん……さおと約束しちゃった』
ほら見ろ、やっぱり相手はツキだ。
……っていうか、付き合ってるフリしてんのに出掛けんのかよ。ただでさえ入学してすぐのツキの余計な行動で、三角関係の噂立ってんのに。
「そっか……なら仕方ないな。
兄貴と満月ちゃんの結婚祝いにプレゼントでもどうかと思ったんだけど。無理なら、」
『え、待って、それは一緒に行く……!
どうしてもその日しかだめなの?』
……あーあ、よりによってそこに食いつくのかよ。
自分で出しておいてなんだけど、兄貴のことにそんな必死に食いつかれたら、俺だって傷つく。
『なら、さおの予定ずらしてもらうから……!
衣那くんと満月ちゃんのお祝いはわたしも一緒にしたいもん……ね、お願い。衣沙』
「……いいよ。
なら、あいつとの予定、日にち変えて」
『うんっ、わかった』
じゃあね、って。
うれしそうななるみの声のあとに電話が切れるけど、顔を上げたら兄貴もなるせもなんとも言えない顔を俺に向けていた。……なんだよ。
「ずらしてどうするの、衣沙兄……
デート阻止したいんじゃなかったの?」
「……いや。
よく考えたら、彼氏でもねえのに『行くな』とか言えねえじゃん。なんで?ってなるだろ」
「それならほかにもマシな誘い方あったと思うよ。
……予定をずらしてもらったら、衣沙はあくまで変更された予定だよ。『デートしよう』って、思い切って誘うぐらいのことはしなきゃ」