【完】姐さん!!



なるみは、なんだかんだいっていつも俺を優先してくれる。

断られることはあったけど、ここまではっきりと拒絶されたのははじめてだった。



「動きにくいのではっきり言っときますね。

俺、姐さんのこと略奪する気でいるので」



それじゃあ、と。

わざとらしく一度手を振って、去っていくツキと。それに並んで、俺を見ることもしなかったなるみ。



「えっ、うそ、三角関係……!?」



「イケメン掻っ攫っていくあたり、さすが姐さんって感じじゃない?

まあ、もちろん美人だからだろうけど」



「衣沙くん、なるちゃんと喧嘩でもしたの?」



ギャラリーは好き勝手に口を開くけど、俺は別になるみと喧嘩なんてしてない。

今日も朝は普通に一緒に登校したし、強引に取り付けた日曜の約束、どこ行く?って話もした。




……そのあと何かしたっけ?

全然思い当たる節がないんだけど。っていうか、そもそも授業がはじまってからは喋ってねえし。



「………」



焦る気持ちだけはあるけど、本当に何もしていないせいで、なるみの行動が理解できない。

このタイミングで、愛想尽かされた……?



「略奪ってことは、

月宮って粟田のこと好きなんだろ?」



「まあでも、ぶっちゃけそっちのが良くね?

さすがに遊びすぎたんじゃねーの?目黒」



けらけらと他人事みたいに笑ってる男連中になにも言い返せないのは、俺も薄らそんな気がしているから。

遊んでる彼氏と一途な片想いなら、間違いなく後者を取ったほうがいい。それは俺にもわかる。



わかるからこそ、さあっと血の気が引いていく。

……でも、なんでこのタイミングで?



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