メトロの中は、近過ぎです!
しばらく車の中は静かだった。
大野さんが何を考えてるか分からないけど、明日になったらもう忘れようと思う。
昨日起こったことも、この気持ちも……

ずいぶんゆっくり帰っていたので陽が傾き始めて、そろそろ私の実家に寄ろうかとしていた時、彼の携帯が鳴った。

車を駐車場に入れた大野さんは、携帯を見ると、
「ちょっと電話してくる」
と車から出ていった。

でもすぐに慌てた様子で戻ってきて、
「何かあった?」
私が聞くよりも先に駐車場を出ていた。

「悪い。急ぐぞ」

普段の大野さんらしくない運転。
何かあったんだ。

車が高速に乗ったところで大野さんが口を開いた。

「母さんが倒れたらしい。俺の実家に寄っていいか?」

ビクッとするくらい低い声。

「うん。あの、私は適当な駅で降ろしてくれていいから…」

彼がちらりと私を見る。

「いや、送っていくから…ちょっと待ってろ」

そう言うと、かなり早いスピードで車は都心に戻っている。

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