メトロの中は、近過ぎです!
その女の人はじっと私を見ている。

「なんだよ」

大野さんが不機嫌そうに答える。

「あんた、なんで、家にまで女連れ込んでんのよ!」
「は?」

ピリピリとした空気。
大野さんが綺麗な女の人と睨み合っている。

「結婚するまで、あんたが誰と遊んでようと構わないけど、家にまで連れてこないでよ!」
「だまれ!分かったようなこと言うな!」

すごい声だった。

こんなに怒ってる大野さんを始めて見た。

フン、と言って女の人は長い髪をなびかせて足早に去って行く。

大野さんはしばらく女の人が消えた2階の廊下を睨んでいたけど、

「大野さん……」

私を一瞬見た後、黙って裏口に向かって行った。


誰だったんだろう。
もしかして今の人が婚約者なんじゃ…

おそらく私の感は当たっているだろう。
だとしたらもうこの家に住んでいるんだ。

さっきの光景が嘘だったかのように静かな家を、大野さんの姿を追って足早に出た。

車に乗り込んでからも、彼は何も話さなかった。
荒々しく車を発進させると、さっきとは違う道を通っているようだった。
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