メトロの中は、近過ぎです!
先にその音に気付いた大野さんが、私を隠すように背中を向けるから、誰が入ってきたのか分からなかった。

「おはようございます。今日は戸田とお約束ですか?」

ってことは戸田君じゃないんだ。
業者さん?
いや、まさか……

室内に革靴の音がする。
何も答えないで入ってきたらしい。

「俺。あなたにお話ししたいことがあったんです」

大野さんを無視してその靴音はどんどん近づいてきている。
イヤな予感がする。

「実は、先日の佐々木の出張なんですが…」

何も言わない侵入者に大野さんが話しかける。

違うって言って
あの人じゃないって

なのに、

「どけよ、そこ」

シンさんの声。

終わった。
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