メトロの中は、近過ぎです!
目を開けると見慣れない天井が見えた。
ベッドに寝ているようだけど周りはやたらと静かで、ここがどこなんだか見当もつかない。

起き上がろうとすると、右手に温もりを感じた。
顔だけ動かして見ると、そこにいたのは大野さん。

大野さんは私が寝ているベッドに手を乗せて寝ているようだ。
その手が乗せられているのは私の右手の上、優しく包み込むように握っている。

やっぱりはると君なんだって納得した。
この手の温かさを覚えている。
寂しさでいっぱいの私を慰めてくれてたのは、この温もりだった。

あの頃よりはるかに大きくてごつごつしているその手は、あの頃のまま暖かかい。

私はしばらくその寝顔を見ていた。

普段よりも少し幼く見える。
それだけ普段は御曹司を頑張ってるってことだろう。

少し起き上がろうとすると、頭と左肩に激痛が走った。
どうやら左肩は固定されているようだ。

名残惜しかったけど右手を大野さんの手から抜き出し、右ひじで起き上がった。
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