御曹司のとろ甘な独占愛
 怡菲は小悪魔のようにクスクスと微笑むと、目の覚めるようなワインレッドのスカートを翻す。
 栗色のふわふわの髪が、砂糖菓子のような甘い匂いとともに舞った。

 そうして、彼女はこちらを振り返る。

「王子様からの愛の告白のタイミングを知っているお姫様なんて、可愛くないから――私が今日ここに来たことも、アナタに会ったことも、伯睿には内緒にしてね」

 人差し指を唇に当てて、大輪の華がほころぶように微笑んだ。


 彼女は、大理石の床の上にヒールの音を立てながら堂々と進む。
 ドアマンが傘を差し出し、大きな扉を開いた。

 外のスコールは、いつの間にか止んでいる。

 雨雲の隙間から太陽の光が燦々と現れ……彼女を照らし出した。

 栗色の髪が光に透けて美しい。――まるで、お伽噺から出てきたお姫様のように、彼女は輝いて見えた。
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