御曹司のとろ甘な独占愛
 ……夜一人で眠ると、朝顔の花簪が、どこかで埃をかぶっているのを夢に見る。

 それを、一花が見たこともないはずの伯睿のお母様が、ハタキを使って掃除して、「まったくもう!」と言いながら棚に置きなおす。
 そんな朝顔の花簪を、怡菲がクスクスと嘲笑う。

 いつの間にか、部屋には怡菲と伯睿だけになって――。
 ……二人は仲睦まじそうに寄り添い、そっと、真実の愛を誓うキスをした。


 そんな夢にハッと目が覚め、真夜中に一人、窓辺で夜景を眺める。

 どんな時間に魘されて起きたとしても、伯睿は一度も隣にいることはなかった。



 一人で出社することにも慣れてきたある日。

 スケジュールボードを確認すると、今日の自分は午後に休暇を取っていた。申請した覚えの無い休暇に、一花は首を傾げる。

「陳店長! 私、今日の午後休を取った覚えがないのですが……」

 丁度近くを通りかかった陳店長を呼び止め、山越一花〈午後休〉と書かれたスケジュールボードを指差す。
 陳店長は「ああそれね!」となんでもない風に頷いた。

「今朝、そこで劉副社長とバッタリ会って。直接話を聞いたから申請しておいたの。突然だけど、全然問題ないわ! あれに参加するなら準備が必要だものね」

 そう言って、彼女はニコリと微笑む。
< 129 / 214 >

この作品をシェア

pagetop