御曹司のとろ甘な独占愛
「ふぃ、フィアンセ!? いえいえ、そんな、出来ません……」

 一花も、その場で小さく萎れた。
 そんな一花に、王さんがそっと白手袋をした手を重ねる。

「でしたら……僭越ながら、私どもで一花様にお似合いになるものをいくつか、こちらにご用意させていただいても構いませんか?」

「是非、お願いします!」

 出会った当初は、王さんの流暢な英語と洗練された動作に圧倒されっぱなしだったのに、なぜだか今は心強い。
 それからすぐに、百貨店のサロンへ王さん達が慌ただしく電話をしだした。三十分もしないうちに、控えめな色合いのドレスの並ぶ新しいラックが数台到着する。

「一花様、よくお似合いでございます! それでは一旦、こちらにお召し替えを」

「はいっ」

 王さんの素晴らしい手腕で、副社長の隣に立って彼を引き立てることができる、上品で素敵なドレスが見つかった。

 ほっと安堵する暇もなく、ヘアメイクに移らなくてはならない。
 ドレスのラック替えが入り、試着の時間が押したことによって、パーティー開始の時間が刻々と迫ってきていた。

 一花は急いでドレスを脱いでメイク用のローブに着替え、準備されていたドレッサーの前に座る。

「本日の一花様のヘアメイクを担当させて頂きます! どうぞよろしくお願い致します」 

「よろしくお願い致します!」
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